つくる。素材にこだわり、唯一無二の価値を生み出すものづくりをしたい。
つなぐ。ものづくりにこだわり、笑顔と人、人と森、森と環境をつなぐ空間づくりをしたい。
つむぐ。空間づくりにこだわり、時代を超えて人の暮らしに寄り添い続けるストーリーを紡ぎたい。
板蔵ファクトリーは、木を熟知する材木屋ルーツの木工工場として、
サステナブルなものづくりで、木に触れる機会を創り出し続けます。
Philosophy
木は、太古の昔から人間を支えながらも常に再生し続けてきた、地球に与えられた究極の素材です。
板蔵ファクトリーは、そんな木の存在に感謝しながら木を持続的に使い、
木の美しさを広め、木や森と人が共存し続けられるサステナブルな資源循環を目指します。
手仕事へのこだわり
板蔵ファクトリーはいろいろな種類の加工機械と人の手の組み合わせで最大限の木肌感を表現します。
それぞれの樹種や製品の用途ごとに最適な状態に仕上がるまで、木の状態を見ながら丁寧に加工をする手仕事の精度を大事にしています。
原木へのこだわり
突板、一枚板、家具、建具…つくる製品の用途により、選ぶ原木は異なります。
アメリカ材、アフリカ材、アジア材、国産材、地域材。150以上の樹種を扱う板蔵ファクトリーは、常に日本全国や世界中の原木情報を収集し、原木の状態から直接仕入れを行うので、市場にはないサイズや樹種の木材製品も、原木からつくりだせるのです。
一枚板へのこだわり
板蔵ファクトリーは、天然木を活かしたモノづくりができるオーダーメイドの工場であり、一枚板では日本トップクラスの質と量を誇るブランド「ITAKURA」の工場でもあります。
また、板蔵ファクトリーの本社は、一枚板のショールームとしては日本最大級の床面積の広さであり、製材品、加工品、完成品、工場が一度に見られる銘木のショールームとなっています。
木の目利きを活かし、世界中から仕入れた原木を製材・加工し、日本全国のみならず世界中に出荷しています。
造作家具へのこだわり
造りつけの家具は、単なる家具ではなく、空間を形づくるパーツと考えます。よって、デザインや素材へのこだわりだけでなく、機能性、耐久性、空間とのバランスも大切に考え、お客様の立場に立ち、家具づくりを考えます。
品質へのこだわり
板蔵ファクトリーは「良い品質」のために原木選定から製材加工、塗装まで自社一貫生産にこだわります。完成まで全てを把握することで品質への責任が持てるからです。
そして、「良い品質」を創り出すためには、素材の質や機械性能が当然必要ですが、「お客様の心に響く品質」を創り出すためには、そこへさらに職人の心が必要になると考えます。
手仕事の多い板蔵ファクトリーのオーダー加工製品は、天然木や無垢を扱える熟練した職人の手仕事により製造され、職人の思いが伝わるような丁寧な品質でお届けします。
Machine
「できない加工はない」という考えで、全国のさまざまなデザイナー様の設計アイデアを形にしていますが、それには多くの木工機械が必須です。板蔵ファクトリーでは、木工所の中でも群を抜くほどの種類と量の木工機械をそろえており、幅広い加工のご要望にお応えできる体制を整えています。
Message
代表取締役 吉田 香央里
板蔵ファクトリーの最大の特徴は世界中の銘木を扱うことができる「素材力」です。銘木のラインナップ、質と量、そしてその素材を独創的な製品にするための「加工力」、この2つにおいて私たちは日本一を目指して努力しつづけます。
また、板蔵ファクトリーは、大量生産の家具は得意ではありません。少量オーダー生産がほとんどであり、ひとつひとつ使っていただくお客様の顔を見て声を聞きながら製作しています。今後もそんな思いを込めた家具をつくり続ける木工工場でありたいと願っています。
また、地球に住むメンバーの一員としての責任を感じ、国連が掲げる開発目標であるSDGsの考え方に応える家具作りや、日本の森林環境に貢献できるような国産材を活用した家具作りを進めています。「つくる、つなぐ、つむぐ」ことで人と森の豊かな未来を創る木工工場になりたいと思っています。
つくる【作る】
木を使ってお客様が描くモノづくりをイメージしながらつくる。木肌感や温かみなど、木の良さが最大限にお客様に伝わるようにつくる。
つなぐ【繋ぐ】
家具を通じて、誰かの思いを誰かにつなぐ、新たな顧客をつなぐ。ウェルネス(心と体の健康)や安全性に配慮した素材選びをし、長く使う家具として人から人へ信頼感や安心感をつなぐ。
つむぐ【紡ぐ】
親から子へ、先代から代々へなど、ストーリーや歴史を紡ぐ。サステナブル(持続可能)な木質資源を使い、良い地球環境・森林環境を次の世代へ紡ぐ。
板蔵ファクトリー誕生秘話
日本全体が高度成長に沸く昭和30年代、豪華なラッピングを施されたトラック数台で運ばれる婚礼家具は人々の憧れの的でした。その時代に岐阜で生まれてからずっと、高級婚礼家具や無垢造作家具の製造に明け暮れ、社長一代の間に全国販売へと業績を伸ばし、地元の確固たる信頼を築き上げてきた木工会社がありました。その「伊藤木工㈱」が「板蔵ファクトリー㈱」の前身の会社です。2017年、伊藤木工の社長で板蔵ファクトリー顧問を務める伊藤長次郎社長から、板蔵ファクトリーの社長を務める私は、木工への思いがこもった熱くて重たいバトンを受け取ったのです。
一番初めは約2010年頃、木材市場での出会いが始まりです。木材について一つ質問すると軽く15分以上解説&体験談&関係ない話も話してくれる「やたらと木工に熱いおじいちゃん」、そんな印象の社長でした。「俺の一張羅は作業着だ。一生作業着を着るぞ。」と言い放つ、御年84歳、家具づくり一筋70年という経歴の持ち主は、小柄ながらその存在感は超インパクトがありました。「あんたんどこの板の積み方はあかん。」「俺は突板も自分で作らな気が済まん。」「原木の木取りも分からんやつが良い家具なんか作れるか。」と絵に描いたような頑固一徹っぷりや、木材の目利きや家具製造においての自信満々発言が痛快なほどたまらない魅力で、私の中ではビジネスパートナーというよりは近所の面白いおじいちゃん的な存在でした。
が、あるとき伊藤社長から私の父へ「(伊藤木工を引き継いで)家具の会社をやらんか」と相談があったと聞きました。私はまさか!あの家具大好きおじいちゃんに限って、冗談じゃないの!?と流したけれど、そこから半年ほどして、やっぱりあれは本気だったのだと理解する状況になりました。よくよく話を聞くと、継がせようと思っていた息子さんが亡くなって意気消沈していた、70年頑張ってきたが体力的に今後が心配だ、などの理由だそう。苦渋の決断だったのだろう事は想像に難くないが数回会っているうちに、一代で興した会社を自分の代できちんと整理したい、育ててきた職人に仕事を継続的に与えられる環境を作ってほしい、木のことを理解している会社に引き継ぎたい、という前向きな思いもひしひしと伝わってきて、だから私は、伊藤社長にとって木工は天職なのだから、これからも元気でいる限り顧問として一緒にやってほしいという率直な思いを伝えました。
こんなおじいちゃんは今の時代には天然記念物と言えるくらい稀少価値でしょう。しかし全てが合理化、ファスト化する現代にこそ、彼のような考え方、こだわり、熱い思いが必要であり、人からも必要とされるのではないか。今こそ、このようなこだわりやストーリーの詰まった家具や木材の手触りが、人々を感動させ、癒し、大切にしてもらえるのではないか。だからこそ、この熟練の技術やこだわり、仕事に懸ける思いは日本から失くしてはいけない、自分の子供や未来の子供たちに伝えたい、そう強く思いました。
世界中の森や草原に生えている丸太が選定され、切り出される。海を渡り、日本に到着すると原木市場を通じて、全国の目利きの下で製材される。そしてできた材木はさらに全国各地を流通しながら木工所へようやく到着し、たくさんの職人の手仕事により、加工され、塗装され、家具や建材などさまざまな木工製品として完成し、最終的にユーザーの手に渡る。ひとつひとつの木工製品の背景には、人から人へ渡る思いやドラマがあります。木工ってこんなにもストーリーが詰まっていて何と面白いものか、と知れば知るほど木工家具の魅力に囚われていきました。脚光を浴びたあの時代をもう一度見たい。もう一度現代の世の中に再提案したい。そんな思いで“REBOOT MOKKOU”(木工の再起動)とコンセプトを打ち、伊藤木工の伊藤社長はじめ職人さんたちに助けられ、会社を引き継ぐ決断をしたのでした。
そこから季節が数回変わり、ようやく引き継げる体制になりました。伊藤木工の入り口にあった「インテリアプラザIF(イトウファニチャ―)」の看板が「IF(板蔵ファクトリー)」のロゴに変わったとき、義務感と責任感、期待感とワクワク感の混じった複雑な思いを胸に、私たちは新たなIFとしてREBOOTしたのです。