TOUCH WOOD VOL.12

ホワイトオークを求めて行った、ニューヨーク!?

見た目に重厚で耐久性の高いナラ材は、古くから日本建築でも愛用されてきた。床材や家具などに使用すると、見た目の絶妙な色合いの他、年月を経るごとに味わい深く、美しくなる。そのため、古材等のアンティークになる材としても人気が高い。材木屋内でも多くのファンを持つ木材であり、私も自宅の床と家具に、ナラの中でもひと際人気の高いホワイトオークを使っている。
今回の木材女子のたびは、世界一の都会に降り立って、見渡す限り同じ景色の田舎に材木を探しに行くという三泊五日弾丸アメリカツアーだった。
その地はニューヨーク。
直径一メールを超える大径のホワイトオークがあるとの情報をキャッチしてから一ヶ月、ついに一万キロ離れたこの地に着いた。岐阜出身の私にとって「ニューヨーク」は憧れの響きだが、おおよそ縁のない地だと思っていたため、まさか本当に来るとは思わなかった。しかしもちろん摩天楼に大径木があるはずがなく、単に空港がニューヨークだっただけで、ザ・ニューヨークという感じの風景を遠目に見ながら車で素通りしていった。

原木との出会い

後ろ髪を惹かれる気持ちも忘れた頃、景色はすっかり果てしない草原と一本道になっていた。時速百キロ超で走っている感覚も鈍るほどの長時間、同じ景色を眺める。そのうちに寝てしまい、気付いたら手入れされた大きな芝生に庭がある、テレビでよく見るアメリカの住宅街にいた。そこから山道に入り、すぐに原木置き場の土場についた。が、なんと誰もいない。
事前連絡をしていたのに担当がおらず、連絡すると「勝手に見ていいよ」とのこと。アメリカ式なのか何のなのか、いきなりの放置対応に驚いたが、初回面談だから仕方ないと気を取り直して土場の中に進んでいった。アメリカは数日前から雨が続いていて、歩きにくいかもとは聞いていたが、ここまでひどいとは思わなかった。原木土場は、地面というよりちょっと固い沼状態だ。そのぬかるみっぷりは半端なく、歩きにくいどころか、一歩一歩慎重に進まなければ靴全体が泥に沈没してしまう状態だった。そりゃ担当者も来ないはずだ。車も当然SUVだったから良かったものの、セダンだったらタイヤが回ってなかったねと皆でホッとした程だ。同行したメンバー内で唯一女子だった私は(いろいろ助けにくいから)なるべく動かないでくれと釘を刺され、皆が原木の検品をしている最中、少し離れたところで何の役にも立たずボサッと立っているだけだった。

しかし岐阜から遠路探しに来た大径木のホワイトオークと、木味の良いたくさんのオークたちに出会えたので、ドロドロの靴の事なんか忘れて、ここまで来てよかったなぁと満足した

前途多難の実りある仕入れ旅

夜はニューヨークに戻り、現地パートナーが「ニューヨークステーキ」を食べさせてくれるということでワクワクしていたのだが、その場で「近くに原木置き場がもう一か所あるよ!」と言われた。材木屋としては見に行かない訳にはいかない。「行くよ!」と二つ返事をし、午後四時過ぎから向かったところ「近くに」と聞いていたはずが片道三時間かかり、アメリカ式「近く」を理解していなかったことを反省した。しかしそこにもたくさんのオーク原木があり、実りある仕入れの旅となったことは間違いなかった。そんな訳で、ニューヨークステーキは道中のペンシルベニアステーキに変わり(茶色い見た目で驚いたが美味しかった!)夜の十二時近くに、ようやく眠らない町ニューヨークに到着した。